2025.06.07 Saturday

ブログ🍀(2025年 5/31更新☆)

2025-05-31 09:00:00

猫の慢性膵炎・膵外分泌不全症

猫の膵臓の病気、、なかなか悩ましいものです。ワンちゃんの急性膵炎と違い、猫ちゃんの場合は慢性膵炎が多いのですが、激しい嘔吐や下痢は出にくいものの、何となく食欲が落ちてきた、最近嘔吐することが多いかも、何となく寝ている時間が多い気がするという経過をたどることもあり、確定診断まで様々な検査が必要になってまいります。その分、検査費用、通院費なども高額になってしまうこともありますよね。

実は、院長の愛猫のノルウエージャンフォレストキャットのユズちゃんが、先日、「慢性膵炎によるものと思われる膵外分泌不全」を発症してしまい、現在、消化酵素剤の投与にて治療中なんです。猫の膵外分泌不全症は非常に稀で、症例報告も少ない傾向にあります。

同じ病気で悩まれている方もいらっしゃるかと思いますので、参考にしていただければ幸いです。

 

【ユズちゃんの経過】

・3月中旬に下痢の症状がでる。元気食欲はある。嘔吐はなし。

便検査実施。整腸剤(ディアバスターとビオイムバスター)の投与開始。

 

・1週間経過しても下痢が改善されず。念のため血液検査(CBC、生化学)実施したところ、カルシウム値の高値異常を確認。その他の項目での異常はなし。

整腸剤に抗生物質(アモキシリン)を追加して様子見とした。カルシウム高値の対処として生理食塩水の皮下点滴を週2回実施。

 

・さらに1週間経過後、有形便がでるようになったものの、軟便が続く。このころより食欲がやや低下。活動量低下

これは何か重大な病気を発症している可能がある!!と判断。

レントゲン検査、超音波検査、下痢パネルPCR検査、特殊検査(SAA、T4、コルチゾール、fPL、f-TLI、イオン化カルシウム、PTH,PTHrp)を実施。ほぼフルコースの検査 (⊙ˍ⊙)。

 

・懸念していたSAAの高値は無し。甲状腺疾患なし、アジソン病なし、上皮小体機能亢進症を疑う異常もなし。

 fPLIとFTLIの高値を確認(慢性膵炎の可能性を示唆)。

 下痢パネルにてClostridium perfringensの陽性確認

 

高カルシウム血症は「猫特発性高カルシウム血症」の可能性が高いと判断。(画像診断で異常は見られなかったもののリンパ腫の可能性を完全除外はできないが。PTHrpの数値に異常はなし)

 

・ステロイド剤、抗生物質(ビクタス)、マイトマックススーパー、コバラミンの投与を開始。

 

ステロイドの効果か食欲増進!!っと思ったら、あれ?ん?? お尻からオリーブオイル??脂肪便だ(っ °Д °;)っ

今まで食べる量が少なかったので、消化が追い付いていたのでしょうが、ステロイドの効果で食欲が増し、消化が追い付かなくなり隠れていた症状が出てきてしまいました。これが診断の決めてとなり、ユズちゃんは膵外分泌不全を伴う慢性膵炎との診断に至りました。

fTLIの低値はなかったのですが、脂肪便が出たのは明らかですので、おそらく脂肪分解酵素のリパーゼが出ていないのだと思います。

もしかすると膵外分泌不全までは行っておらず、膵外分泌機能低下の状態なのかも・・と期待もしつつ。

さっそく、消化酵素の食後投与を開始したところ、久しぶりの固形便が出ました!!固形便がこんなに愛おしいとは

 

♦️現在、使用しているお薬♦️

消化酵素剤(毎食後かかさずに)

マイトマックススーパー(一日1カプセル)

コバラミン錠(一日1回)

で安定しております。

元々4.6kgあったユズちゃんですが、3.6kgまで体重が減ってしまいました。

消化酵素剤の投与を開始して3週間ほど経過しましたが、体重が3.9kgまで戻りました😊。

次回は、犬猫で処方できる消化酵素剤の種類と、猫ちゃんへの消化酵素剤の飲ませ方についてお話したいと思います。

 

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